秘密の共有
ほんの少しだけサッカーの事が解った日
好奇心が促すまま歩き出会った光景と人
九州から出てきて忘れられない日になった。
「おはようちゃん。今日は午前中はクラブの練習で、
午後から選抜の練習があるんだけどちゃんはどうする?」
大切な人と出会ったに日から数日たった朝食の時間に
将はに今日のスケジュールと午後から行われる
選抜の練習にはどうやって行くかを質問してきた。
「将と一緒に行きたい」
焼き魚と味噌汁の香り漂う中、仲睦まじく会話をする中
時々光るモノを構えていた者が会話に加わった。
「桜上水にも一緒に行けばいいじゃないか。
待ち合わせと言う美味しい状態もイイが、始終一緒と言う
のはすっごく美味しいハズ!イヤそうするべきだ!!」
デジカメを片手に握り空いた手を握り締め力説すると
再びシャッターを押し始めた。
「ねぇ将、功兄もああ言っている事だし、私も桜上水の
人達を見てみたいから一緒に行っちゃダメかなぁ・・・・・・」
フラッシュが輝く中、将へのお願いを言うに
「まぁ、松下コーチも水野君もちゃんの事は知ってるから
問題は無いと思うけど、待っている間、ヒマだよ」
そう答えをくれた将にはかろやかに言葉を返した。
「大丈夫!絶対ヒマじゃないよ!」
のかろやかで明るい声は将にとっては断言に聞こえ
じゃぁ、一緒に行こうか
との答えを出した。
そんな2人のやり取りをシャッターを押しながら満足そうに
頷くと、功は自室に戻り再び二人の前に現れた時には
両手一杯のTシャツを持っていた。
「さ、。この中から好きなのを選んで今日着て行きなさい
なんだったらオレが選んでもいいぞ」
嬉しそうな声と共に見せられたTシャツに
朝食を一時中断して目移りしていると、再び功の言葉が聞こえた。
「あぁ、将とお揃い何ていうのもイイなぁ」
手に取り、どれを着ていこうか迷っているの姿を見ながら
功が呟く様に出された言葉は二人の動きを止める呪力を持っていた。
が、いち早く立ち直った将が慌てて否定の言葉を紡いだ。
「そんなのダメだよ!」
「何がダメなんだ将!2人は兄妹なんだ!
なにもダメな事はないだろ!!」
将の言葉に功は光の速さ並の速さで言葉を返すと
今度はのんびりとした早さでが功に言葉を返した。
「流石にソレは恥ずかしいよ。
それに今日はコレを着て行く事に決めたから」
数ある中から選び出した服を功に見せると
先ほどの元気差が一気になくなり
肩を落とし、背中を丸め哀愁を漂わせながらが見せている
服を見ると、
薄い桃色で右胸の辺りに小さなメーカーのロゴが入った
Tシャツだった。
「おかしいかなぁ?私には似合わない色かな?」
不安そうに見せ、聞いてくるに
さっきまであった哀愁が無くなり、仕事をしている時の様な
作り声で功は感想を言った。
「そんな事ない!が一番似合うTシャツだよ!!」
「本当に?将はどう思う?」
功の作り声に疑いの眼差しを向けた後、
今度は目の前に座っていた将に感想を求めると
「いいんじゃないかなぁ・・・そんなにハデじゃないし
それにちゃんにも似合っているし」
の当てている服の感想を正直に言いながら
目の端ではに疑いの眼差しで見られ、床に両手両膝を
を付いて、落ち込んでいる功の姿が入っており、
なんとも言えない気持ちになりながら
残っていた朝食に箸を付け食べ始めた。
も将の感想に満足したのか、手に持っていたTシャツを
膝の上に置き朝食を再会させた。
落ち込んで何か呟いている功をほっておき
朝食を済ませると、各自荷物を持ち足早に玄関に向おうと
するが、が功の前で足を止め、下を向いている
功の顔を覗き込みながら声をかけた。
「功兄、仕事で疲れてるんだから早く寝た方がいいよ」
ただ一言のの言葉に落ち込んでいた功が
笑顔で顔を上げ
「そうだな、疲れてるもんなオレ。
の言うと通りだよな。と将を見送ったら寝るよ」
なんて自己暗示的な言葉を言うと、足取りが軽いのか
リズミカルな足取りで玄関から将とは見送られた。
「功兄大丈夫かなぁ・・・・・・」
心配そうに呟く将に
「多分眠たかったんだよ」
将と対照的な明るい声でが言葉を返す。
「そうだよね!」
の言葉にさっきまでの功の行動と思い出し
納得すると、
「うん」
も笑顔と元気な声を出しながら頷き納得をした。
ほのぼのと交わされる言葉を当の功が聞いたら
涙を流し
も将もなんて優しい子なんだ!!
お兄ちゃんは感動したよ!!
将との手を握り言った事だろう。
が、残念な事に当の本人がいない為
将とが放っているのんびりオーラは
道行く人々の心を癒すだけとなった。
その後も、2人特有のオーラを発しながら
桜上水に着き、共に更衣室前まで着くと
グラウンドでは数人の女の人と水野が何か話しをしていた。
何か緊迫した雰囲気に声をかけられずに入ると
右横から幼さを残した女性特有の声がかけられた。
「おはよう風祭君」
「香取先生。おはよう御座います」
声をかけられた方向を見て、将が軽く頭を下げながら
挨拶をしていると、先生と呼ばれた女性の視線が
の視線を合い、不思議そうに首を傾げながら
「風祭君そちらの子は?」
女性の言葉を聞き将の言葉を待たず
は笑顔で聞かれた質問に答えた。
「将の妹の風祭と言います」
「妹さんが見えたのね。私は風祭君の担任で
香取夕子よ。ちなみにサッカー部顧問なのよろしくね」
同様の笑顔で言葉を返し、2人して笑い合っていると
先ほど深刻そうに話していた水野が声をかけてきた。
「風祭!」
「「はい」」
名前を呼ばれた2人は同じに振り向き返事をすると
水野は驚いたのか、会話としてはおかしな間を空け
「・・・・・ちゃんも来ていたのか。俺の読んだのは
将の方なんだが」
「あ、そうだったんだ・・・ごめん水野君」
「そうだよね・・・つい返事しちゃった・・・水野君ごめんなさい」
両者から謝られ、口御もりながら水野は両者に言葉を返した
「え!?・・・・いや・・・・・・・別に謝られる事では・・・・・・・・」
「そや、別に間違った事してへんさかい謝る事はないで」
「シゲさん。おはよう御座います」
水野の背後から金色の髪をした少年が現れ、
先ほどの現状の感想を言うと、将が挨拶をした。
「ようポチ。なんや、あの子お前の妹なんか?
今までよう俺に隠しとったなぁ」
言葉と共に近づき、将の頭を2〜3回叩くと
シゲはの方を見
「俺は佐籐成樹や、
シゲて呼ばれとるさかいシゲて呼んでな」
「私は将の妹でと言います。
よろしくお願いします。シゲさん」
互いに自己紹介を済ませ、先ほど同様
微笑み合っていると、シゲの手が
の頭の上に乗せ
「ほんま、よう似とる兄妹やなぁ」
将同様2〜3回軽く頭を叩かれた。
「兄妹なんですから当たり前ですよ」
「確かにそやな」
そんなの言葉に複雑そうな表情を浮かべ
ながら将は2人の話を聞いていると、
遠くから集合の声が掛かり、肩にかけていた荷物を
置き急いで皆が集まった場所へとジゲと共に
走った。
中心には松下コーチがおり、その周りに人が集まって
話をしょうかと言う時に、将が松下コーチの元に走り寄り
言葉をかけると、松下コーチも了解したのか頷き、
将がその場を離れると、タバコを咥えたまま話を
し始めた。
「練習メニューの言う前に、今日午後から
選抜の練習があるらしいから、水野と風祭は居なくなるのと、
選抜の手伝いをしている風祭の妹のちゃんが来ているが
見学をしているだけだから気にしない様に」
そんな、松下コーチの話を聞くと、今まで話を聞いていた
少年と少女の視線が一斉に輪に後ろにいたに
視線が集まった。
「えっと・・・・風祭・・・・です
よろしくお願いします」
一斉に集まった視線の多さに、恥ずかしくなり俯きながら
皆に自己紹介をすると、ゆっくりと将の背中の後ろに
隠れると、シゲが笑いを噛み殺しながら
「まぁ、そう見てやるなや、怖がってるやろ」
「シゲの言うと通りだろな。ま、そう言う事だ皆仲良くな」
松下の言葉で将の後ろに隠れていたから
視線を外し、松下コーチ方へ視線を向けると
松下コーチから練習メニューの発表があり
各自、コートに入り練習をやり始めた。
グラウンドに入って練習をしている将達を楽しく
見ていると、横に座っていたシゲが声をかけてきた。
「サッカー好きなんか?」
「サッカーですか?やった事はないですが・・・・」
「なんや、ボール蹴った事ないんか」
「え!?いや・・・・・・・その!」
急に顔の前に両手を前につき出し勢い良く
左右に振り、早口で反応を返すと
いきなりの手を持ち、立たせグラウンドの
開いている場所に連れて行くと
シゲがに向ってボールを蹴った。
「うわ!」
に向ってくるボールを蹴り返した。
「ええ感じやん!そうそうその調子」
シゲに届いたボールを再びに向って蹴り返してきた。
ボールはとシゲの間を行き交いし、長い事続き
何時の間にか午前中の休憩に入ったのか
周りには将と水野、松下コーチに
の知らない女の人が立っていた。
「ちゃん、上手だねぇ」
「まぁ、そうだなぁ・・・・・・・」
「初歩は出来てるみたいねぇ」
3人三様の感想の感想を言うと、
将の笑顔の一言が残りの2人の表情が変わった。
「ちゃん、ボール蹴った事ないハズだけど
どこかで練習したのかなぁ」
「は!?今日が始めてなのか?」
「うそ!?あれで初めてなの!」
シゲからに蹴られるボールを軽く速度を落すぐらいに
足で止め、シゲの足元に向って蹴り返していた。
「なんや、休憩の入んかいな。ほな俺らも休憩しょか」
「はい」
の元にあった、ボールがシゲの元へ転がり
2人は皆と休憩に入った。
「、ほんまの事言ってみ」
「本当の事ですか?」
皆と同じ場所で休憩を取っていたシゲに急に
に振られた言葉に不思議そうに首を傾げ
はシゲに言葉を返した。
「ボールを蹴ったんは今日が初めてじゃないやろ」
「え?どうしてですか?」
「タツボンもポチもソウ思っとるはずや」
2人の近くに座っていた、二人に話を振ると
女の人の言葉が返ってきた。
「えぇ!アレはどう見ても初めての蹴り方じゃないわ」
「確かに、初めてではないだろうな」
「ちゃん、九州でサッカーやってたの?」
女の人の言葉に頷くと、シゲに話を振られた
水野も将も話しに乗ってきた。
遠回しに上手いと褒められているのだろうが
皆から問われる質問に答えるべきなのだが
どうしてか、声が出なく
「そんな事ないですよ。ただ、テレビでやっていた
マネをしただけですので!」
「さようか、まぁがソウ言うんやでソウなんやろうなぁ」
「でも!」
「小島!ちゃんがソウ言っているんだから
ソウなんだろう」
シゲの言葉の後に女の人の声が掛かると
すぐさま、水野の言葉が重なった。
「あの、小島さんて、女子部の部長さんの小島さんですか?」
水野の言葉の中に出てきた名前に疑問を持ち
が質問をすると、すぐさま質問をした本人から言葉が
返ってきた。
「そうよ」
「じゃ、将が言っていたサッカーの上手な小島さんて
小島さんの事だったんですね!お会いしたかったんです」
シゲの横に座っていたは少しでも小島の顔が見える様に
顔を突き出すと、の言葉に驚いた表情を見せていた小島の
顔が見えた。
「小島さん?」
再びかけられての声で、意識が戻ったのか
小島がに話かけてきた。
「そっかぁ、風祭がそんな事を言ってたのね・・・・」
「はい。手紙とか電話とかで良く名前が出てきてたので
覚えていたんです。僕より上手い女の人がいるんだ!
て、嬉しそうに言っいたので覚えたんです」
「そう、私は小島有希。もし良かったら今度一緒に
フットサルをしましょう」
「私、サッカー出来ませんがイイんですか?」
の心配そうな声と言葉に小島は強く言葉を返した。
「あれだけボールが蹴れれば直ぐに出来る様になるわよ。
ちゃんのヒマな時に一緒に行きましょう」
「はい!」
「さて、そろそろ休憩時間が終るわね・・・・
水野、風祭、グラウンドに行くわよ」
2人に立って先に行く様に促し
その場を離れる事を見送ると、小島はの前に立ち
「ちゃん、私や水野にはゴマカシは良いけど
実の兄にウソを付くのは良くないわよ。
今日は、聞かなかった事にするけど、このまま
言わなかったらもっと深く追求するからね」
今日はと言う言葉通りこれ以上に追求はなかったが
将隠し事をするなという言葉に、は誤りを入れた
「ごめんなさい」
「私にじゃなくて、風祭に言うべき言葉でしょう」
謝ってくるに小さい子に言うぐらいの優しい声で
言うと、
座っていたシゲが言葉を挟んだ
「まぁ、聞く場所とタイミングが悪かったんやろ
悪かったなぁ・・・あんな大勢の前で聞いてしもて」
「いえ、私が将に言ってなかったのが悪かったんです
今日にでも将には言います」
言葉と共にシゲの大きな手がの頭を撫ぜたが
の言葉に撫ぜる事を止め
笑いながら言葉を返した。
「そうやな、こういうのは早い方がエエやろ。
小島も言いたい事言ってすっきりしたやろ、早よ
練習に戻らんと、皆困っとるで」
シゲの言葉に小島はグラウンドに視線を見ると
女子部員と水野と将が心配そうにこちらを見ていた。
そんな光景にため息を付きながら視線をに
戻し、と目線を合わせると
「ちゃん、フットサルの事は本当だから
ヒマな時一緒に行こうね」
「はい。是非」
頷き、言葉を言うを見て
小島も頷くと2人の元から離れ
部員が待っているグラウンドに入っていった。
一緒にと、約束をした小島の後ろ姿を見送りながら
は横にいるシゲに話かけた
「私、ボール蹴ったの初めてじゃないんです。
この前、探検した時に少し教えて貰ったんです。
その人の名前も解っています。
でも、どうしても言えなくて、
将がこの事を知ったらどういう反応をするのか
怖くて言えなかったんです・・・・・・・」
の紡ぐ言葉を黙って聞きいていた
シゲの視線はクランドでボールを追いかけている
将を捕らえていた。
「バカですよね、私・・・・
将だったら、がんばってね
て、笑って言ってくれただろうに・・・・」
「そうやな、アイツやったらソウ言うやろうな。
なぁ、ちゃん。その教えてくれた人は男の人か?」
今まで黙っていたシゲが口を開き
の言葉に同意し、質問をしてきた。
「はい、周防さんという社会人の方です」
「そうか、ま、の気持ちは解ったわ」
「私の気持ちですか?」
「そうや、まだ気付いておらんみたいやけどな」
「・・・・良く解らないのですが」
「その内、気付く事や。
焦らずゆっくり考えればええ」
「はい。あの、それでこの話なんですけど・・」
「解っとる。この話は秘密なんやろ」
「勝手な事を言ってすいません」
「気にせんでエエ、2人の秘密やな。
安心してエエで、俺は口は堅いから
なんやったら、これからちゃんの秘密
聞いたるさかい、何かあったら俺の所に来ればいい」
「本当ですか!?」
今まで、暗く強張っていたの表情が
初めて会った時の様な明るさを取り戻した
「勿論約束や。それと、ポチには周防さんの
名前を言わん方がエエやろ」
「解りました」
シゲの言葉にが頷く
深刻そうな雰囲気は無くなりグランドには
指示を掛ける声に混じって、
男女の話声がまじっていた。
2人だけの秘密は少しでも多く・・・・・・・・
少しでも誰よりも近くに入れる様に
何があっても直ぐに頼ってもらえる様に
気に入った人間は絶対離さない